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倉庫火災の原因はリチウム電池の熱暴走 保管の常識を見直す

倉庫火災の原因はリチウム電池の熱暴走 保管の常識を見直すのイメージ

本ページは公開情報を整理した業界レポートであり、特定の事業者・設備・サービスの推奨ではありません。

ニュースの概要

韓国消防庁は、7月に仁川の物流センターで起きた大規模火災の原因を公表した。出火場所は建物6階の保管ラックで、商品に内蔵されていたリチウムイオン電池が熱暴走を起こしたことが最初の火元だった。焼け残った電池からは、内部の絶縁不良による発火の可能性が確認されている。火は商品の箱や包装材、段ボールに燃え移り、上の階や外壁沿いにも広がった。消防庁は再発防止策として、電池や電池入り製品を置く区域の分離管理、早期の火災検知、保管時の充電率の管理などを求めている。

引用元: リチウムイオン電池の熱暴走が韓国・仁川の大型物流倉庫火災の出火原因と判明(Chosun Biz)

分析・見解

小さな電池一つが、巨大倉庫を焼いた連鎖の仕組み

熱暴走とは、電池の内部で発熱が発熱を呼び、自分では止められなくなる現象をいう。きっかけは、電池内部の薄い仕切り(絶縁層)の不良である。仕切りが破れると、内部でショート(短絡)が起き、熱が出る。温度が上がると化学反応が進み、さらに熱が出る。最後は発火に至る。

今回の火元は一つの保管ラックだった。ここで注目したいのは、電池そのものの燃える量はわずかだという点だ。問題は周囲にある。商品の外箱、緩衝材、段ボールは、どれもよく燃える。つまり電池は「点火源」にすぎず、倉庫の中身全体が燃料になる。

火が上階と外壁へ走った理由を考える

報告では、火は上層階や外壁を通じて広がったとされる。高層の物流施設は、棚が高く、荷物が隙間なく積まれている。この構造は、火にとって煙突のような道になる。炎は棚の間を上へ抜け、床の開口部やダクトを通って次の階へ移る。

ここが、2021年に韓国・利川の物流センターで起きた火災や、2024年に華城のリチウム電池工場で起きた火災と共通する点だ。どちらも初期の数分間で手に負えなくなった。スプリンクラーは「水で冷やして延焼を抑える」設計であり、電池内部で燃え続ける熱源には効きにくい。表面に水をかけても、内部の発熱は止まらない。

見落とされがちな、荷主と倉庫会社の責任の境目

独自の視点として、保管品の中身が誰にも把握されていない点を挙げたい。倉庫会社は、荷物の外箱しか見えない。モバイルバッテリー、電動工具、電動歯ブラシ、イヤホンのような小型家電は、品目名だけでは電池入りかどうか分からない。荷主は商品として売るだけで、倉庫の火災リスクを意識しにくい。

結果として、電池入り製品と衣類や雑貨が同じラックに並ぶ。火災が起きたとき、延焼を広げる条件が最初から整っていたことになる。電子商取引の拡大で、この種の混載はむしろ増えている。

規制は「保管の仕方」へ向かうという見通し

今回の消防庁の提言は、製品の安全性より保管の運用に重点を置いている。区域を分ける、充電率を下げて置く、早期に検知する、の三点だ。充電率が高いほど電池内部のエネルギーは大きく、熱暴走の勢いも強い。多くの輸送規則でも、一定の充電率以下での輸送が推奨されている。

今後は、倉庫の保管ルールが法令や保険条件に組み込まれていくだろう。熱画像カメラやガス検知器など、燃える前の兆候を捉える機器の導入も進むと見られる。

ビジネスへの影響

自社の保管品に電池入り製品がどれだけあるか洗い出す

まず取り組むべきは、棚卸しである。電池入り製品の品目を一覧にし、どの倉庫のどの棚にあるかを地図にする。品目マスタに「電池内蔵」の印を付けるだけでも、混載の把握が一気に進む。

荷主企業は、倉庫会社にこの情報を渡す責任がある。倉庫会社は、契約時に電池入り製品の申告を求める条項を加えたい。申告がなければ、事故時に責任の所在が曖昧になる。

設備投資と保険料のバランスをどう取るか

全館にスプリンクラーを増やすのは高額で、電池火災には効果が限られる。現実的なのは、電池専用の区画を一つ作る方法だ。耐火壁で仕切り、熱感知とガス検知を重点的に入れる。全体を作り替えるより、費用は小さく済む。

保険会社は、こうした対策を評価して保険料を調整する傾向にある。対策を講じていない倉庫は、今後は引き受けを断られる可能性もある。火災で数か月止まれば、取引先への出荷遅れで契約を失うおそれもある。事業継続の視点で、設備費を損失の保険と考えて判断してほしい。

初期対応の訓練を現場に落とし込む

機器を入れても、人が動けなければ意味がない。煙や異臭、電池の膨らみを見つけたときの手順を、現場の誰もが言えるようにしておく。初動で通報し、人を避難させ、無理に消そうとしない。この三点を決めておくだけで被害は変わる。年に一度は、電池区画を想定した訓練を実施したい。

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